"La Lumiere et l'Ombre"

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zoom RSS 三人の神様  (其の一)

<<   作成日時 : 2007/11/15 18:48   >>

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僕が、アメリカに来るきっかけは本当に漠然とした理由だった。『アメリカの映画界に入りたい。』 ただ、それだけだった。当時具体的にどのポジションに尽きたいかと聞かれれば、『ん〜、そうだなぁ、監督?かな?』くらいの調子だった。ただ、アメリカに目を向けたのにはいくつかの理由があった。

一つは、小さい時から、母親がよく映画館に連れて行ってくれた。僕と弟は、マンガ祭り等のアニメを見たかったのだが、母親が洋画好きという事もあり毎回観るのは、欧米の映画だった。家では決してテレビを観させてくれなかった。ただ週末の洋画劇場だけは毎週見せてくれた。その為知らず知らずのうちに映画が好きになっていき、高校の時は週末の夜、よく寮を抜け出して、今はシネコンが普及した事によって無くなったが、当時は“オールナイト ショー”がまだ行われており、映画館によっては新作2本立てを行っている所もあり、僕にとっては週末の恰好のホテル代わりになった。


二つ目は、僕は大学時代、毎日柔道の練習が終わると、ほとんど毎日レンタルビデオ屋さんに立ち寄り、数本のビデオを借りてから家に帰った。それこそ週末には、5、6本かりた。そして、勉強なんてそっちのけで、夜中まで、借りて来た映画を鑑賞した。小さい頃から、『この映画は面白かったぁー!』というのは何本もあったが、19歳くらいの時人生で始めて衝撃を受けた作品に出会う。『羊たちの沈黙』。アンソニー・ホプキンスとジョディー・フォスターがアカデミー賞の主演部門を獲得した作品。確か僕は、この作品を何度も見る為に延滞料金を3000円近く払ったのを覚えている。

画像


http://www.imdb.com/gallery/ss/0120603/Ss/0120603/beloved22.jpg?path=pgallery&path_key=Fujimoto,%20Tak

http://www.imdb.com/gallery/ss/0167404/9.html?path=pgallery&path_key=Fujimoto%2C%20Tak&seq=2


クラリス・スターリング(フォスター)が林の中を走り抜ける途中、上司のジャック・クロフォード(スコット・グレン)に呼び出し受けるオープニング。その後、クラリスがFBI訓練所の建物内の階段を下りて来てクラスメイトと軽く握手した直後に 『DIRECTOR OF PHOTOGRAPHY TAK FUJIMOTO』と日本人の名前が出る。『ん?日本人?珍しいな。』 その時は、それ程気にもならなかったが、全て見終わると、日本人がアメリカ映画に参加している! そのストーリーと同じくらいのショックを受けた。ただ、その時にDPになりたいとは思わなかった。当時の僕は、DPが何をするポジションなのかすら全く知らなかった。おまけに、当時僕は監督がライティングし、監督自らがカメラを回すと思っていたから。

大学卒業後、“何となぁ〜く”監督になりたいくらいの気持ちで、フロリダの映画学校へ進学。そこで、僕の恩師G.A.先生に、照明のクラスで出会い、先生が『TAK FUJIMOTOという、日本人DPを知っているか? 彼は私の一番好きなDPだ。』 それから、先生は、DPの一番重要な仕事、つまり、『ライティング/照明』について授業以外でもDPのドキュメンタリーや、歴史上に名を残すDP達が撮った作品、そしてバロック、ロココ、ルネッサンス期の素晴らしい光の描き方をした古い絵画の掲載された本等を貸してくれ、『銀幕の中の光』の使い方を熱心に教えてくれた。

そして、また『羊たちの沈黙』を再び観た。その時は、ストーリーと光を絡めて鑑賞したのだが、それが僕に19歳の時とはまた違ったとんでもない衝撃を与えた。そして、その時『俺も、将来DIRECTOR OF PHOTOGRAPHYになる』と決め、それから、TAK FUJIMOTOさんが撮った作品を全て観た。彼の撮った主な作品はテレンス・マリックの『地獄の逃避行』、『コクーン2』、『フェリスはある朝突然』、ジョナサン・デミ監督の『フィラデルフィア』『羊たちの沈黙』、デンゼル・ワシントンの『青いドレスの女』、M. ナイト・シャマラン監督の『シックスセンス』『サイン』、キアヌ・リーブスの『リプレイスメント』、ロバート・デ・ニーロの『ナイト・アンド・ザ シティ』、トム・ハンクス監督の『すべてをあなたに』等他多数。

この頃から、ビデオ屋さんでビデオを選ぶのも、映画館に行って映画を観る時も、俳優や監督ではなく、誰がその作品を撮ったのかで選ぶようになる。そして、興行的には余りヒットしなかったり、人が面白くなかったと言う作品でも、お気に入りのDPが手掛けた作品なら、僕は十分堪能できた。今でも、それは変わっていない。勿論、ストーリー、演出、演技、美術、編集、サウンド、音楽、衣装等全てが素晴らしい事に越した事は無いのだが、それとは別に、違った楽しみ方、つまり光による『演出、物語の伝え方』がある事が僕にとって、映画を見る上での一番大切な事になった。

TAK FUJIMOTOさんの次回作は、三度組むM.ナイト・シャマラン監督のフィラデルフィアを舞台にした『THE HAPPENING(原題)』(主演マーク・ウォルバーグ、ジョン・レグイザモ)、そして、『THE GREAT BUCK HOWARD(原題)』(トム・ハンクス、ジョン・マルコビッチ、コリン・ハンクス)。両作品とも来年全米公開予定。

ちなみにTAK FUJIMOTOさんの経歴は、広島県出身の両親を持つ日系二世アメリカ人。少年時代は、第二次世界大戦時に日系人強制収容所で過ごし、両親は他の日系人同様全財産を失った苦労の時代もあったが、そんな時に、お父さんが週末になるとハリウッドの映画館に連れて行ってくれ、映画に楽しみを見つけたそうだ。大学はカリフォルニア大学バークレー校法学部を卒業したが、映画を勉強する為にイギリス、ロンドンへ。そして、帰国後現場での色々な仕事、編集助手等をやり、『カッコーの巣の上で』等で知られるDP、ハスケル・ウェクスラーのアシスタントを経て、テレンス・マリック監督の『地獄の逃避行』でDPデビュー。

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知らないうちに洋画になっていたのかなあ?なんだか日本アニメだったらテレビで見れるからなんて思ったりしてね。でも大画面だったらまた違ったのかしらね??たしか初めてみたのは「グーニーズ」だったっけ?その後「ウィロー」を見たよね。これは2回見た記憶がある。だってこのストーリーがとっても優しい映画だったしね。誰が出てたかは忘れたけど。。。
キャサリーンマリー
2007/11/15 23:15

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