"La Lumiere et l'Ombre"

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zoom RSS BEST CINEMATOGRAPHY IN 2008

<<   作成日時 : 2009/05/13 10:03   >>

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どうも!今週はちょっと雨の多い一週間でした。現在参加しているニコラス・ケイジ作品で、事故が起きてしまいました・・・。それも、三日間で二度も・・・。最初の事故は、タイムズスクエア近くの7番街をベンツがフェラーリを追いかけるカーチェイスシーンの撮影中に、フェラーリがスリップしてコントロールを失いそのまま歩道に突っ込みレストランにガシャーン・・・。クルーではない二人の人が怪我をしたものの、幸い命に関わらない軽症ですんだものの、雨の日のチェイスシーン、気をつけないと・・・。その二日後には、一般のSUV車が割り込んで来たタクシーを避けようとして駐車していた測道の車にぶつかり、撮影を終えビルの庇の下にいたクルーめがけて突っ込み9名のケガ人が・・・。僕は、メインクルーなのでどちらの事故にも直接遭遇はしなかったが、CNNなどのニュースで観光客の撮影した映像が何度も流されていた。とにかく、雨の多い時は仕事中だけではなく、普段の生活でも気をつけないと。

ブログの更新をサボっている間、今年のアカデミー賞も終わってしまった。毎年、僕は、俳優部門等には、正直ほとんど興味がない。当然一番興味があるのは、”Best Cinematography”、最優秀シネマトグラフィーだ。それともう一つは”Best Art Direction”、最優秀美術賞。

今回のシネマトグラフィー部門のノミネートは、『スラムドッグ ミリオネア』(アンソニー・ドッド・マントル)、『ダーク ナイト』(ウォリー・フィスター)、『ベンジャミン バトン 数奇な人生』(クラウディオ・ミランダ)、『The Reader 愛をよむ人』(クリス・メンゲス、ロジャー・ディーキンズ)、『チェンジリング』(トム・スターン)の5本。()内はシネマトグラファー/ライティングカメラマン。

美術賞は、『ベンジャミン バトン 数奇な人生』が受賞。その他の4本のノミネートは『チェンジリング』、『ダーク ナイト』、『レボリューショナリー ロード』、『The Duchess ある公爵夫人の生涯』。

シネマトグラフィー部門は、『スラムドッグ ミリオネア』のアンソニードッド・マントルが初受賞。ダニー・ボイル監督とはこの作品以前も『28デイズ レーター』、『ミリオンズ』でコンビを組み今回3本目。5本全て観ていたけど、個人的には『チェンジリング』のトム・スターンに獲ってほしかった。

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<<シネマとグラフィー部門受賞者のアンソニー・ドッド・マントルと、同部門のプレゼンターを務めたナタリー・ポートマン。>>

ケイト・ウィンスレットが主演女優賞を獲得した『The Reader』。クリス・メンゲスとロジャー・ディーキンズの二人のイギリス人がシェアする形でノミネート。これは、一旦撮影が終了して、その後いくつかのシーンや追加シーンを約2ヶ月かけて再撮影した為。(2ヶ月と言えば普通の映画が一本取れる時間!) でも、最初の撮影でシネマトグラファーだったメンゲスのスケジュールが合わなかった為にディーキンズが再撮影部分を引き受けた。二人は、映画界では世界的に有名なシネマトグラファーで、特にロジャー・ディーキンズは神様のような存在で、毎年のようにノミネートされ、昨年はノミネート枠5本の内の2本にまとめてノミネートされる快挙。コーエン兄弟監督、マーティン・スコセッシ監督、ロン・ハワード監督、サム・メンデス監督の作品でよく知られるが、やっぱりコーエン兄弟との作品が一番有名だろう。一方のクリス・メンゲスは『キリング フィールド』、『マイケル・コリンズ』、『ボクサー』、『ノース カントリー』等で知られる。

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<<シネマトグラファー  クリス・メンゲス, BSC>>

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<<シネマトグラファー  ロジャー・ディーキンズ, ASC,BSC>>


『ダーク ナイト』のウォリー・フィスター。今回が3度目のノミネート。監督のクリストファー・ノーランの作品は『メメント』以来全てフィスターが手掛け、『ダーク ナイト』は5本目のコンビ。その他の彼が手掛けた作品は『イタリアン ジョブ』、『スローバーン』等。

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<<シネマトグラファー  ウォリー・フィスター, ASC>>

今年のシネマトグラフィー部門にノミネートされた5人のうち、トム・スターンとクラウディオ・ミランダ、この2人は元々Gaffer(ガファー/ライティングテクニシャン)として長年にわたり多くのシネマトグラファー達のライティングを技術面からサポートしていた。スターンは、2002年の『ブラッド ワーク』から『硫黄島からの手紙』を含む全てのクリント・イーストウッド作品を手掛けているが、それ以前は多くのイーストウッド監督作品でGafferを務めた他、『俺たちに明日はない』等で知られる伝説的シネマトグラファー、コンラッド L ホールのGafferだった経歴を持つ。クラウディオ・ミランダも同じくGafferとして、『クロウ』、『クリムゾンタイド』、『エネミー オブ アメリカ』等で長年多くの作品でシネマトグラファー達をサポート。『ベンジャミン バトン〜』のデイビット・フィンチャー監督作品では、『セブン』、『ゲーム』、『ファイト クラブ』でGafferを努めて、2007年の同監督作品『ゾディアック』でセカンド ユニットのシネマトグラファーに起用。ミランダにとって『ベンジャミン バトン〜』はシネマトグラファーとしてはまだ2本目の長編映画。それも、予算が150億円!まさに、“大抜擢”だ。しかし、フィンチャー監督は『ミランダにはライティングテクニシャンとして十分大きな作品をこなして来たという経験があったから、全く心配はなかったし、出来ないと少しでも思ったら起用しなかった。』と全幅の信頼をおいていたようだ。

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<<シネマトグラファー トム・スターン, ASC,AFC>>

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<<シネマトグラファー クラウディオ・ミランダ>>

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<<クラウディオ・ミランダ、僕の小学校の時のT先生に似ているのでもう一枚!>>

アメリカやヨーロッパのシステムで一番素晴らしいと思うのは、自分の将来の目標を達成する為の道が一つではないと言う事。監督になりたければ、カメラアシスタント、ライティングテクニシャン、サウンドアシスタントから始める人、シネマトグラファーになりたければ、カメラアシスタントではなくGaffer/チーフ・ライティング・テクニシャンやエレクトリシャン、Grip(グリップ=特殊機材テクニシャン)、と全く違う部署からのスタートが切れると言う多くの選択肢がある。その中で新しい可能性や、興味を違うポジションに見出して方向変換をして行く者もいる。大きく日本と違うのは、アメリカの場合カメラアシスタント、ライティングテクニシャンやGripの多くの人が引退するまでトップのポジションにならないという事も稀ではない。それが一つの”職業”として成り立っているからだ。日本の場合アシスタントのポジションと言えば、それぞれの部署のトップになる為の通過点と言う考え方が強いようだ。ライティング(照明部)の人間としてキャリアを始めたら、ゴールは照明技師で、監督やカメラマンになりたくてもかなり難しいのではないだろうか?確かに、皆カメラマン、監督になるまでアシスタントとして色々な苦労をして目標に辿り着く事を考えると、そこを飛び越して監督やカメラマンなんてと思うのも分かる気もするが・・・。ただ、違う畑から来た者の面白味と言うのは大いにあるのは事実だ・・・。 


映画の話に戻るが、僕がシネマトグラフィー部門にノミネートされた5本の中から、お薦めするのは、『全5本!』と言いたいところだが、それでは余りに説得力がないので、2本としておきます。

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<< 『スラムドッグ ミリオネア』 >>

まずは『スラムドッグ ミリオネア』(イギリス作品)。イギリスの作品で日本でもお馴染みのクイズ ミリオネアのインドバージョンをモチーフに、撮影は全てインドで行われた。インド人の外交官によって書かれた小説『Q&A』を脚本化。ムンバイのスラム街で育ったウェイターの青年、ジャマール・マリクが“ある目的”でクイズ番組に出演し、残り一問で全賞金2千万ルピー(約5千万円)というところまできた。しかし、貧しい中で育ち教育も受けていない青年がなぜ正解を連発する事が出来るのかと司会者や警察に”不正行為”の嫌疑をかけられる。拷問を受けるが潔癖を主張するジャマール。そして、一つ一つの問題の答えを自分が知っていた経緯を話しだす・・・。そこで、幼少時代から貧しさを生き抜いて来た人間の強さが語られて行く。


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<< 『THE READER 愛を読む人』 >>

2本目は『The Reader』(アメリカ・ドイツ作品)。時はナチス支配下のドイツ。労働者階級の孤独な独身女性、ハナ・シュミッツ(ケイト・ウィンスレット)。ある日家の前で病気の少年、マイケルを助け彼の家の近くまで送って行く。回復したマイケルはお礼の花束を持って、ハナのアパートへ。30過ぎの女性と10代半ばの少年の短い恋が始まる。文学に精通しているマイケルはハナに色々な本を読んで聞かせ、ハナもそれを心から楽しむ。しかし、二人の短く淡い恋は終わりを迎え、その後マイケルは弁護士を目指しロースクールへ進学するが、ハナとの再会はあまりにも残酷な形で訪れる。彼女は、ある悪名高き事件の被告人として裁判にかけられていた・・・。余談だが、この作品のプロデューサーは、アンソニー・ミンゲラ(『イングリッシュ ペイシェント』『コールドマウンテン』)とシドニー・ポラック(『トッツィー』『Out of Africa』『ファーム法律事務所』『インタープリター』、役者としても『アイズ ワイド シャット』『フィクサー』等に出演)と二人の大物監督。しかし、昨年3月にミンゲラ監督が、そして、数ヶ月後にポラック監督が完成を見ぬままこの世を去ってしまった。知っていた人は多かったと思うが、ケイト・ウィンスレットが授賞式のステージ上で二人の名前を天に向かって呼びかけたのにはこういう背景が合ったのだ。





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<<ロジャー・ディーキンズが撮った『バーバー』はグレイト!!!>>

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
ニコラス・ケイジの映画の撮影中の事故のニュースは、日本のニュース番組でも盛んに流してましたよ。

デイズニーの映画だそうですが、タイトルとか、しゃべっていい撮影秘話など書いていただけるとうれしいです。
ねこのひげ
2009/05/15 07:39
ねこのひげさん:コメントありがとうございます。タイトルは"Sorcerer's Apprentice"( 魔法使いの弟子と言う意味)です。製作・配給はディズニー。残念ながら、契約上これ以上は今の時点で話す事が出来ません...ゴメンナサイ! 英語のサイトでもうちょっと詳しい作品情報は見る事が出来るので、そちらをどうぞ!
http://www.imdb.com/title/tt0963966/
Mr.Y君
2009/05/16 08:33
もちろんです!
契約違反になるようなことまで求めてませんので、ご心配なく。
参加されている映画の撮影風景やスタッフの様子などを、許される範囲を語っていただけるとうれしいです。

英語のサイト、覗いて見ました。
2010年の公開を楽しみにしてます。

日本では、今年7月に『Knowing』が公開されます。
ねこのひげ
2009/05/16 17:59
久しぶりのブログ楽しませてもらったよ!活躍ぶりうれしくなりました!ニコラスケイジの映画楽しみ!!ママから引越しの話聞いててはやくどうにかなったら良いのにと話してました インフルエンザは大丈夫?神戸のほうが危なくなってるけど!6月にはカナダに行く予定だけど 10月11月も行くけど
時間があったら WINNIPEGに来てね
ピッピ
2009/05/17 16:26
フェラーリがぶつかるなんて!どうにか映画につなげたらすごい迫力が描ける!?
私はこんな時期に風邪をひいて豚インフル疑惑をかけられたいへん。。。気をつけてね〜。
かな
2009/05/23 01:11
ねこのひげさん:先週の金曜日、7番街を10画ほど完全にブロックして、先日事故を起こしてしまったカーチェイスのシーンを、俳優を入れての撮影を行いましたが、こちらは、5月の最終月曜日の戦没者追悼記念日と言う祝日前で、スタート地点がホテルのド真ん前ということもあり、観光客等でかなりの混雑でした。写真は僕はずっとライティングをやっていて忙しく、撮影風景は撮れなかったので残念です。とにかく、スケールの大きい撮影で、通行止め、ライトを歩道に配置する許可等、一晩でこのシーンの撮影に使ったお金は、7千万だそうです!
Mr.Y君
2009/05/25 14:05
ピッピさん!こちらでは、それほど新型インフルエンザの影響感じないけど、日本はニュースを見ると大騒ぎみたいで・・・。ピッピさんも、出発前なので気をつけて。引っ越しは無事に終わりましたが、荷物の整理がまだ少し残っています。来週は、撮影が毎日夜なので、完全に片付くのは来週末かな。ブログを書いているのでそちらをどうぞ。とにかく、インフルエンザに気をつけてね!
Mr.Y君
2009/05/25 14:11
かなチン!結婚前に、風邪引くなよ!こちらも、うがいと手洗いをいつもより入念に行っております・・・。まだ死にたくない!フェラーリ、金曜日の撮影では、新しいヤツが来てました・・・。どれだけお金使うんだ、と思いました・・・。
Mr.Y君
2009/05/25 14:16

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