"La Lumiere et l'Ombre"

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<<   作成日時 : 2012/05/09 23:20   >>

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<<New Yorkで撮られた映画のエンドクレジットにはこのロゴが出る>>


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<<アメリカ映画、アメリカで撮影が行われた映画のエンドクレジットには必ずこのロゴが出ている>>
I.A.T.S.E. ホームページ http://www.iatse-intl.org/splash.html

I.A.T.S.E.(北米の映画技術者労働組合=ユニオン)に入って約5年が過ぎた。
正式名称は、International Alliance of Theatrical Stage Employees, AFL-CIO。ハワイ、アラスカ、カナダ、プエルトリコも含め、全米の中で14の管轄に別れている。New Yorkは"Local 52"(第52支部)。総本部はNYのマンハッタンのブロードウェイ街にある。ちなみに、"AFL-CIO"とはAmerican Federation of
Labor-Congress of Industrial Organization(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)で、全米最大の労働組合組織で、簡単に言うと、他の業種、産業のユニオンとも提携していると言う事。よくアメリカはユニオンが強いと言われるが、僕らのI.A.T.S.E.だけで約5万人、AFL-CIO提携を入れると1,000万人近い。

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<<AFL-CIO>>

I.A.T.S.E.には映画だけではなく、テレビスタジオ、ブロードウェイの劇場、コンサート等のショープロダクションの技術者、ヘアー/メイクアップ アーティストも達も含まれる。僕の所属するLocal 52は、
ライティング テクニシャン、グリップ(特殊機材)、サウンド ミキサー、ビデオ技師、美術、小道具、セットドレッサー、セット建築、救命士が所属する。

加入するには、それぞれの支部によって異なった審査方法、条件がある。New Yorkの場合は、書類審査、筆記/実技試験、そして総会での投票。

一言でユニオンが何をするのかを説明するのは中々難しいのだが、僕らのユニオンに関して言えば主な仕事は、雇用主である、メジャースタジオ、プロデューサー側との賃金、労働環境条件等の契約交渉を行ってくれる。野球の世界で言えば、選手=労働者と球団=雇用主の間を取り持つ代理人のような仕事を定期的に行ってくれる。その為、1994年メジャーリーグで選手会がシーズン中にストライキしたように、僕らの業界も交渉が上手く行かない場合には"ストライキ"に踏み切る事もある。記憶に新しい所では、2007年末にWGA(アメリカ脚本家協会)がストライキに踏み切ったのが最近の事例だ。

実際の契約内容は実に細かい。一日の流れを契約に沿って説明してみたい。

映画/TVドラマでは8時間が保証労働時間、コマーシャルなら10時間。これは、1時間で終わっても8時間分の賃金は保証されると言うもの。僕らは日当ではなく、時給制だ。僕らの、スタンダードなスケジュールと言うのは基本12時間で、8時間を超えるとその後は時給が1.5倍になる、いわゆる"オーバータイム"
(OT)が発生する。12時間以降はOTが2倍になる。お金がかかるシステムだと言われるが、実際の所は、誰も、12時間以上仕事をしたがらないのが現状で、まして"肉体労働"のため、過剰な労働を強いられる事、事故を防ぐ為の契約条項の一つと皆考えている。ちなみに、僕らの賃金は予算によって6段階に分かれている。個別契約、メジャー契約、第3,第2,第1インディーズ映画契約、東海岸協議契約とある。

"Turnaround"、ターンアラウンド。これは、一日の労働が終業してから、翌日の集合時間までの事を言う。これは、映画、コマーシャルに限らず、全てのプロジェクトタイプに適用で、必ず10時間以上設けなければならない。また、ロケーションがプロダクションオフィスを中心に半径25マイル(40キロ。契約によっては30マイルの場合も)の外になる場合は、"travel time"(通勤時間)が加算され、その時間はターンアラウンドの一部にはならない。つまり、通勤に1.5時間かかれば、翌日の集合時間は、就業時間から11.5時間後にしなければならない。

食事は、始業時間より6時間置きに支給されなければならない。6時間を過ぎて支給されない場合は、30分置きに"Meal Penalty"(MP="食事罰金")が発生する。4つ目のMPからは時給の2倍になる場合もある。また、サンドウィッチ、ピザ等は食事とは見なされず、MPが発生。しかし、プロダクション側に妥協案を与えるルールで"Grace"(グレース=好意、慈悲の意味)と言うものがある。これは、食事時間直前に撮っているショットが繊細なものだったり、撮影の進行を止めるのが難しい状況の時に15分間だけMPを発生させずに撮影を続行しても良いというルール。ただ、カメラを動かして別のショットを撮ったりは出来ない。また、この"Grace"システムは一週間に2回までしか使えない。

食事時間は、ケータリング(ビュッフェ形式)の場合は最後のクルーが着席してから30分間。"Walk-Away"(ケータリングが支給されず自分たちでレストランに行く場合)は75分間。また、ケータリングの場合列に並ぶのはクルーが優先で、エキストラはクルー全員が着席してから列に並ばなければならない。

一日の労働時間が14時間を超えると、プロダクションはクルーにホテル滞在、タクシーでの帰宅をオファーしなければならない。僕は、タクシーは使うが、ホテル滞在はほとんどした事がない、なぜなら、仕事先で一切食事をしないので、帰宅してから食事をしたいからだ。朝食と夕食はどんなに集合時間が早くても、どんなに仕事が遅く終わっても自炊。もしくは、行きつけの定食屋か中華屋さんだ。

こういったルールが一日の大まかな仕事場でのルールだ。

細かいかも知れないが、ここまできちっと決めているからこそ、プランをたてる段階でかなり考えてやらなければならないので、撮影中にほとんど、行き当たりばったりがない。とにかく、思うのは"Time Is
MONEY"、時は金なり、だ。ユニオンに入る前も、いわゆるnon-unionの仕事も大体これに近い流れだった。

ユニオンのメンバーになると、自分の所属ユニオン管轄以外の仕事はできなくなる。例え、州外であっても、それは出来ない。なぜなら、それぞれの都市にI.A.T.S.E.の支部があり、そこでこっそり仕事をすると言う事は、その都市のI.A.T.S.E.メンバーの仕事を横取りする事になるからだ。ユニオンに入ると言う事は、そのユニオンに忠誠を誓うと言う事だ。また、野球の例を出すと、選手は雇用主と交渉事をする場合には、必ず代理人を通さなければならない。それと一緒で、僕らも、契約しているスタジオ/TV/プロデューサー意外とは、契約で出来ないのだ。つまり、独自交渉は認められない。実際に、僕も宣誓式に出席して宣誓の言葉をアメリカ国旗と組合旗に向かって行った。これは、日本人には理解するのが難しいかも知れない事かも知れない。敢えて言っておきたい、労働組合は"Communism=共産主義"等ではない!

New Yorkに来て、1年ちょっと日本の仕事をたまにやっていたこともあり、今でも年に数回お仕事のお誘いを受けるが、僕にはきちんと経緯を説明して、丁重にお断りする事しか出来ない。しかし、中には、「売国奴」「非国民」「裏切り者」と揶揄される心ない方も、残念ながらいらっしゃる。(だったら、電話かけてくんな! と、言うのが正直な小生の気持ちであります・・・。) 全ての人に小生の夢や目標を理解してもらおう等とは、全くもって思っていないが、正直"忸怩たる"思いであります・・・。

ユニオンに入る前から、日本の一部のプロダクション関係者には色々言われたが、僕は"日本人として"この国に来て、そして、このユニオンに性別、年齢、国籍を問わず加入を認めてもらい、多大な恩恵を受けている一人の人間として、多くのメンバーと同様誇りを持って、微力ながら少しずつ貢献していきたい。






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